2015年12月31日木曜日

勇気の代償 (真マネー原理最終号)





< 限界の予兆とthis is itの始まり >

日本では来年の相場予想でN字型が流行っているという。年初上がり、夏場に下がり、年末にかけて再び上がるという展開・・。
この平和的期待を大切にしつつ、個人的に米株指数は小文字のnを想定している。そこでは年初から利上げの影響で下がり、3月ぐらいから「緩和期待」で持ち直す。(当然追加利上げなどない)しかし大統領選で今後の米国の方向性が出る。

大統領選で米国が選ぶのは、協調 慈愛 自己犠牲のヨーダか(Light Side)、それとも、恐怖 怒り  殲滅 のダースベイダーか(Dark Side)。どちらにしても、近年のグリットロックとモラトリアムが終われば一旦米株は下落すると考える。(ただしダースベイダーなら復活は早い)


< 超長期の覇権国家のチャート >

ところで、2012年に紹介した、ダグラス・ショート氏のSP500超長期移動平均線は今どうなっているだろう。氏のサイトにアップデートはないが、紹介した頃、戦後では、70年代後半に一度あったデットクロスの危機が再来していた。






その危機を乗り切ったのは、言うまでもなくバーナンキFEDのQE。「どんな手段を使っても」は通貨安戦争の宣戦布告だったが、日本が対抗処置に出たのは政権交代後。今年バーナンキはCourage to Act という回想録を出した。

Courage to Act (行動する勇気)。グローバルなシステム危機への緊急対応だったQE1と、日本型デフレへの予防的対応だったQE2。そしてあからさまなオバマ再選への応援だったQE3を、同列で評価するのは時期尚早。なぜなら、歴史の呪縛へのFEDの対応力にはやはり限界が見えてきたからだ。この影響はこれから。バーナンキの勇気の評価は、その後でも遅くはない。

戦争を知らず、冷戦も知らず、利上げも知らなかったプレーヤーには、中央銀行神話は磐石。ただFEDのメッセージを額面どおり受け取っても、最早そこに正解はない。市場を誘導するアルゴのシステムに赤い血は通っていない。そして青い血?を持つボラの演出者たちは、どんな状況でも自分は負けないリグを考えている。(この場合のリグはイカサマという意味ではなく、もっと大掛りなグローバルマクロのストーリー)

そろそろそんな市場の内面も暴かれようとしている中、(バイバックとGAAP会計を採用しないシリコンバレー)警戒感で金融引き締めに踏み切ったなら、まずは拡大したFEDのバランスシート縮小からはじめ、その後利上げするのが順序だったはず。(やった事のリバースならこの順序)しかしイエレンには、そこまでの勇気はなかったと思う。

流動性はそのままなら、下がる資産に追い討ちをかける動きはこれからが本番。オイル、ハイイールドに特化し、逃げ遅れたヘッジファンドは死ぬことになるが、だからといってリーマン時のような、主要金融機関が連鎖的システム危機を起こすことはない。

イエレンはもう相場の女神ではないが、一方でマーケットが突然死する可能性は低い。結局ボラそのものが売買の対象で上下運動を繰り返すことになる。ただしそれだけでは添付のチャートは、来年のどこかでまたデットクロスの可能性がでてくるだろう。ではどうする?


<大統領選で何が重要か>


ブレトンウッズまでの米国。そこでは3回あったデットクロスの危機(青塗り部分)は、米西戦争、第一次世界大戦、第二次世界大戦と重なっている。戦後は大きな需要に繋がる世界戦争は起こらず、代わりにニクソンの時代に、出身母体の共和党を震撼させたドルショックがあった。

いまだに金本位制信奉者が多い共和党へのニクソンの裏切りは、民主党から財務長官を選んだ彼の稀有な合理性だと思う。(因みに片腕扱いのキッシンジャーも共和党だったわけではない)カーター時代、その悪影響(インフレ)を我慢した米国は、レーガンの登場と、そのタイミングでソ連が限界を迎えていためぐり合わせで米国は冷戦に勝った。

個人的にこの感激を覚えている。そして証券マンとして、その後のユーフォリアに向かう米国を、現地で目の当たり出来る人事異動を経験した(シカゴ赴任)同時期、米国で学んだ日本のエリートたちは、そのビジネスモデルや金融の仕組みを、帰国後の日本で試すことに向かった。ただ米国の成長がクリントン政権の終わりで転換を迎えた事を知らないまま帰ったはずだ。

ブッシュ政権になり、2004年から株価が復活した。最初は米国の底力のように感じたが、冷静に振り返ると、減税とイラク戦争の裏で、レギュレーションが過度に緩み、主要な金融機関にオーバーレバレッジが発生したからだった。住宅がらみのいろんな証券が信用取引で上昇し、(リーマンは60倍)1999年に買った自宅も、2006年には2倍近くになっていた。

ただし利上げが加速し、コナンドラムだった長期金利が正常なカーブを目指すと、あっという間に住宅バブルは崩壊した。この経験から断言できるのは、リーマン前と比較しても成長力が衰えている今、イエレンFEDの利上げで、いずれはイールドカーブが立ち、米国経済は健全な成長性が実証されるという強気論には整合性がない。この理論が正しければ、リーマンショックはもっと後か、あるいはFEDがQE2に踏み込む前に、成長力は回復していなければならない。

そして今回のイエレンFEDの利上げで思い浮かんだのは1937年の展開。大恐慌の後、一度株は戻った。しかしFEDが引き締めに転じた1937年を境に再び急落。そのままアーセナルデモクラシーの出番になった。それを踏まえ、QE効果の時間切れが迫る今の米国にどんな手段があるか。まずは大統領選挙。


添付は、ブラインダーなど民主党応援団の金融の重鎮が宣伝用に造ったもの。アノーマリーが好きな若いリベラルをヒラリー支持へ向かわせる効果はある。だが歴史的背景をみれば、民主党の大統領時に株が上がるのは、共和党の大統領が、市場原理を優先、その任期中に挫折していることが多く、後を受けた民主党大統領の救済政策が許される環境がこの国にあったからだ。

これがバフェットの言う米国のゴルフ理論。(米国は右と左の林へ交互に打ち込んでフェアウエイにはほとんどいない、だが着実にピンに向かって進む)では、かなり左に打ち込んだオバマの後、次に米国はどちらへ打つのか。また左でいいのか。ずっと事例にしているスターウォーズの仕分けは勿論感覚的イメージ。実際は単純ではない。

トランプがもし大統領になれば、ニクソン以来、最もリベラルな政策を打つ可能性を保守派は心配している。中には今度こそ共和党の崩壊に繋がると、トランプ暗殺論まである。一方民主党の本命のヒラリーの生まれ育ったパークリッジは、禁酒法が終わっても80年代まで頑なにレストランで酒の販売を禁じた特殊な町だ。彼女は共和党だった。(自分もこの町に15年住んだ)

この二人以外の候補者も、今は①ナショナリスト②グローバリスト③モラリストに大別されるが、③以外はイランとの戦争を否定しない。(代表例①トランプ②ヒラリーやジェブ、ルビォやクリスティ③バニー、カーソン、ランデイポール、そして①と③を掛け持つクルズ)



< AIIB とIMFは、傲慢な米国議会への欧州からの警告 >


いずれにしても、このまま冷戦後の米国一国支配は崩れていくのか。米国にとっては盟友英国がAIIBに早々に参加し、中国通貨のSDR加入までサポートしたことは衝撃だろう。ただ本気の野望をうかがわせるフランスを除けば、欧州の同盟国はまだ様子を見ている段階だろう。

1902年に英国抜いて世界一のGDPになったとされる米国は、第一次世界大戦ではその軍事力で単独で世界情勢を決める存在だった。ところが議会がウイルソンが深く関わった平和条約を認めない横暴を演じ、結果次の大戦の遠因になったことで、欧州は米国の民主主義の限界がいつか露呈することを知っていたと思う。

そして今、圧倒的な軍事力を抱えながら使う場所がなく、一方リーマン後もっと酷くなった経済格差による米国政治の二極化は、英国と大陸欧州に、大きな恩がある米国に対し、これまでにない強硬な態度を取らせた。それが2015年のAIIB設立からIMFの中国元SDR承認の背景。

この事態を受けたオバマ政権は、ライアン新下院議長と上院のトップの協力で予算を通した。2016年の予算案には遅ればせながら2010年のIMF改革案を議会が承認する法案が入っていた。(だから手間取った)

この改革案で米国はかろうじて拒否権を維持したが、最早米国がIMFを自由にする力は残っていない。なぜなら米国が横暴な態度をとれば、対抗策として加盟国と欧州は、中国を軸とした新しい枠組みへ更に傾斜する脅しを米国に発動したからだ。

ただまだ中国の実力は米国の敵ではない。だがいずれは接近する。なら今の米国はどうしたいのか。ブッシュ政権で傷を負った米国を引きついだオバマ政権は、世界との協調の道を探り、それが元々の根強い人種差別感や経済格差とあいまって、「ダークサイド」による米国弱体化のプロパギャンダを助長させてしまった。(トランプのI want to make the country great againはレーガンの受け売り)

個人的に観て、本当は米国は弱体化などしていないが、このままでは、南北戦争以来の分裂の危機になる可能性はある。だがらみんなで力を合わせ、米国が圧倒的なその力を世界に示す機会が欲しい。そこで「ダースベイダー」は直情的な軍事力でインフレとインダストリーの復活を望み、一方「ヨーダ」もリベラル化が浸透し、米国がこのまま大昔のギリシャやローマになってしまう事は望んでいないので、今のうちにソフトパワーで新しいドクトリンを創ってしまいたい。



< それで日本はどうなるのだろう、米国から見た視点 >


そんな米国にとって欠かせないのが日本の力。TPPやCOP21においても、日本の技術力や知的財産をアメリカが自由に使えることは非常にありがたい。ただ前述の様に、国内政治の内部分裂による米国の機能不全を懸念し、同盟国英国はヘッジを始めた。

八方美人のフランスは、米国衰退のチャンスをじっと待っている中国やロシアと離れず、今度は絶対に負け組みに入るわけにはいかないドイツはまだ静観中の印象。そんな中、中国の脅威を妄想的に信じる日本は、米国の分裂の可能性など微塵も想定していないのではないか。

こちらのインド人ビジネスマンと中国とインドの経済成長競争で議論したとき、インド人がこぼした母国のディスアドバンテージに、政治の民主主義があった。

彼によれば、前提となるインフラでインドは中国にかなり遅れているが、何より、経済発展より先にデモクラシーを導入してしまったので、物事が進まないリスクが高い。投資家の視点ではモデイ首相の辣腕に期待がかかる。だがその勢いが国民に伝わらない空回りになった場合の反動はどうだろう。

同じようなリスクをアベノミスクの神通力が薄れてきた日本にも感じる。安倍さんは2014年末の選挙をアベノミクスを前面に出して勝利した。しかしその勢いで強引に通したのは、選挙公約には掲げなかった安保関連法案。

アベノミクスの効果が末端に届いていればよいが、そうでないと、参院選挙ではこの矛盾とアベノミクスの失望が同時に降りかかってくるはず。

日本の軍国化のため、ここでは安倍さんの長期政権を望んできた。(米国のポチを脱却するための軍国化であり、米国一辺倒のためではない)そのため自民党には米国の民主党と共和党を併せ持つ変節を堂々と断行して欲しいと考えた。(高橋是清のような変節、あるいは強烈な硬軟同時進行)

結局は平和国家の日本が、ヨーダ的、欧州的な金融緩和継続の政策を取りながら、一方で好戦的で予防的利上げも視野に入れた英米にくっついていく矛盾。ここを安倍さんが神技でマネジメントできれば、日本は輝きを取り戻すし、失敗すると基本的にDNAと政策が矛盾する日本の実情をしらない米国の投資家の反動は大きいと思う。(選挙に負けるケース)



< 2016年、グローバルポリテイカルマクロの本当の主役は誰 >


いずれにしても分水嶺の米国の大統領選挙。選ぶのは米国民として、その米国民の感情に影響を与える影の主役は誰だろうか。ここは日本から一番観えにくい部分。簡単な答えはISIS、プーチンや習金平の野望あたり。だが個人的には、原因を冷戦終結に遡る、今だ正当なイスラエル人になりきれない旧ソ連出身の100万人ユダヤ人の存在を挙げたい。

年末、NHKの新「映像の世紀」でさらりと紹介された旧ソ連出身のユダヤ人の存在。米国は飛び切り優秀な彼らを受け入れ、その能力を国力に活かしてきた。ところが、その流れは冷戦が終結に向かう過程で終わる。

米ソ雪解けムードのなか、最早政治亡命者というわけでもない大量のユダヤ人を、そのまま米国に受け入れることをレーガンとブッシュ政権は拒んだ。米国内ユダヤ系団体も政権に同調、ソ連崩壊前後で生まれた大量のユダヤ人は、米国を諦め、イスラエルへ入植した。

ところが、長年ソ連で旧来のユダヤ教の教えを押し殺して生きてきた彼らは、豚肉も食べるし、クリスマスも祝うようになっていた。結果本流ユダヤ人からは異端に写り、疎外感の中で政治的にはタカ派集団として、ネタニヤフ政権復活の立役者となった。

米国のユダヤ人は多くが優秀で穏健。タカ派シオニストの暗躍が示唆される昨今のウクライナやシリア情勢に対して冷静。過半数はイランとの核協議妥協は支持し、米国生まれのグーグルの二人やザッカーブルグなどは、平和主義リベラルの先頭を走っている。しかし古い世代には強硬派が多く、米国の対イラン戦略では急先鋒的な役割。

結局のところ、資金力で米国政治に多大な影響を与えるユダヤ系は、ダークサイドかライトサイドか。個人的にはまわだわからない・・


< 最後に、今更ながらの自己紹介と、これまでの読者への御礼 >



さて、この最後の長文を含め、これまで長々と、勝手に、偉そうなことを、遠慮なく、それも誤字脱字を校閲しない無作法で、恥ずかしくもなく、ここまで続けたこと、ずべて読者あってのこととして御礼申し上げます。

学生時代、金融には興味がなかった自分が、バブルが縁で大手証券に入社し、赴任した地方支店では幸運にも良い上司に恵まれ、バブルが崩壊する中、限界まで自流の個人営業で突っ張り、苦肉の策で手を出したに日経225の先物とオプションでバタバタしているとシカゴ支店に配属になりました

CBOTのフロアー(現在のCME)ではアメリカ人の大男達が蠢くピットに、慣れないハンドシグナルと、日本語が混じった怒号で体当たりし、日系大手金融機関の百億、時には千億規模の想定元本の債券先物オプションを処理し、不測の事態では瞬時に起こる巨額のエラーに心臓を縮めました。

NY本社ではシカゴ店の統廃合を進め、そうこうしているうちにバブル崩壊後の荒波で東京本社が苦境になり、なぜか前線の兵隊だった自分が、会社の命運を握る本社のエリートに混じって米系大手との交渉の端役をやることになりました。

その結果米国に残り、シカゴに戻ってからは、米系のジャパンビジネスプロジェクトの責任者として没頭し、3年後その米系のスポンサーでグリーンカード届くと、プロジェクトが軌道のったのを確認した上で飛び出しました。

そして大手を離れてはじめてわかったのは、自分は駐在員時代と米系大手での経験で、この国を十分知っているつもりでいたのに、実際は殆ど何も知らなかったという現実・・。

今となってはっきりとは思い出せないのですが、このブログを始めたきっかけは、リーマン前夜に感じた不穏な感触。(2007年にスタート)それを誰かに伝えたいムズムズした動機と、二年前に亡くなった父親が、引退後始めたパソコンでインターネットで何か刺激を受ける材料になればという親不孝者の小さな償いだったと思います。

途中でマーケットの専門的な部分までのめりこんでしまっていることに気づき、本業との兼ね合いで不本意ながら一部レターを有料化し、これまで思いついたこと、感じたこと、わかったことを、歴史的な事象を参考にし、随時、書き残してきました。

恥ずかしい記述もそのままにしてありますが、米系大手を飛び出してから、12年にわたる時間の80%は、チャートを遡る延長で、世界史上の出来事の因果関係を、植えつけられた常識とは別の世界史感として、未来予想に使う手法の研鑽にあててきたと思います。

今後このブログはゴゴジャンのTakizawaレター、今日の視点 明日の視点に引き継がれます。今日の視点は、その日の米国市場の重要な観方を中心に米国の朝配信(ほぼ毎日)。そして明日の視点は、こちらの夕方から夜、翌日以降の米国から観えるグローバルポリティカルマクロの重要な話題を、考察とともに提供します。

グーグルのこのページはそのまま残し、タイトルと趣向を変え、もう少し軽いタッチで
ツイッターとブログの中間のようなモノで再開したいと思います。


http://fx-on.com/lp/detail/takizawa/


ゴゴジャンのメルマガにはSNSがあり、読者とのインタラクションが可能、新しい出会いと挑戦にわくわくしています。

                     








2015年12月25日金曜日

Light side or Dark side , 2016年11月アメリカはどちらを選ぶ

スターウォーズを観た。

ミレニアル世代の新しい主役達。

ダースベイダーより強くなれない・・

この演出はよかった。

リベラルから、なぜチェイニー(元副大統領)がダースベイダーと呼ばれたか。




Compassion ( 同情)    Mercy (哀れみ)   Self sacrifice (犠牲心)、、,,

or

Anger (怒り),,,Unleashing  your inner power  (押さえ切れなくなった怒りを放て)




Light side  or  Dark side ? 

2016年11月、アメリカがどちらを選ぶかは、まだまだ判らない・・

まあ、個人的に一番恐ろしいのは、このビデオを創ったグーグルとアメリカのメデイア

2015年12月24日木曜日

クリスマスにはケンタッキー・・・は、日本だけ

アメリカではカーネルサンダースがサンタになるのはありえない想像だろう



今や日本の食文化が世界最高峰なのは、

舌の肥えていない普通のアメリカ人でも知っている常識。

ところが、その日本では、

世界一舌が肥えているはずの日本人が、

一年で一番大事な夜に,(西洋人的には)

なんと、ファストフードのKFCを食べる不思議・・。

http://metro.co.uk/2015/12/22/3-6-million-japanese-households-will-be-eating-kfc-this-christmas-5579037/

日本市場開拓を狙う企業としては、KFCジャパンの成功は、

最高のケーススタデイー?。

http://www.smithsonianmag.com/arts-culture/why-japan-is-obsessed-with-kentucky-fried-chicken-on-christmas-1-161666960/?no-ist


個人的には、美味しいと感じるなら、それでいいと思う。

でも政治では、アメリカにとって、日本ほど簡単な国はない・・

2015年12月20日日曜日

ヨーダとザバジャハット アゲイン




ヨーダとザバジャハット・・・


3年前のコメントだけど、

まだそのまま使えそう・・

http://marukano-gb.blogspot.com/2012/03/blog-post_08.html

2015年12月19日土曜日

オバマの国家プロジェクト成功、ここでも日本の貢献は大きい 

 ここでは次のスターウオーズが、オバマ政権の国家プロジェクトであるとずっとしてきた。

         http://marukano-gb.blogspot.com/2015/04/3572.html





               どうやら成功した模様。
                       
               共和党のプロジェクトより、       
              
               こちらの方が理想的。

                でもこのままだと、

              共和党のプロジェクトも動き出す・・ 

      一方で、個人的にはTPPが駄目になったことをなぜ喜んでいるか。

      
       
          ルーカスが三船敏郎に初作ではオビワンを、断られても、
             次はマスクを取ったダースベイダー役をオファーしたのは、
            それだけ黒澤映画と三船敏郎のバリューを評価してからだろう。

今の時代になっても、著作権に関しては日本人はやさしいと思う。一方アメリカは、日本や中国が自分達の著作権を侵害すると容赦なく断罪する。(国というよりビジネス)

しかし自分たちが他人のアイデイアを盗んでも何も言わない。技術力もしかり。日本の技術力が宇宙ステーションなどでどれほど重要なのか、全く報道しない・・

アメリカは戦前からそうやって今の軍事力を構築してきた。ドイツで生まれたアイデイアを、移民を受け入れてアメリカで育む。

戦後はソ連がアメリカから盗もうとし、今は中国が狙っている。ソ連からすれば、アメリカに渡った多くのユダヤ系科学者はソ連出身。アメリカに、場を与えてもらった感覚だったのだろう。

一方多くの日本人が、TPPの恐ろしい構図を表面的な善意だけでしか考えないように、黒澤明の世界的価値を、日本人は感じられない。

70~80年代、日本では金を集められなかった黒澤明を、コッポラ ルーカス スピルバーグが援助したのは、黒澤が生み出すバリューを、巨大なアメリカの映画産業で開花させるためだった。

隠し砦の三悪人とスターウオーズの初作。ストーリーの展開の重なりは50%程度、これならパクリとはいえない。しかし、キャラクターのプロットは80%以上重なっている。

スターウオーズの魅力はなんといっても登場するキャラの構図。もし初作がコケていれば、続編の可能性が薄れたはず。ヨーダなど、二作目以降のキャラの命運はどうなっていただろう。

その意味で、名優、千秋稔と藤原鎌足のあのコミカルな演技が、ルーカスを刺激した価値は計り知れない・・

2015年12月17日木曜日

やっちまったFED



昔のイエレン(議長就任前)


喜びのイエレン(議長就任直後)

               重責のイエレン(2014年)


             決断のイエレン(2015年12月) 


                                     
           不安そうに見守るイエレン(来年春ごろ?) 
             
焦るイエレン(共和党特にクルズが大統領なら)

2015年12月16日水曜日

凄い日本人たち。

2015年12月14日月曜日

TPP COP21 会議は合意、なら シャルウイダンス?(Shall We Dance)

                   会議は踊る
          
( ナポレオン後の欧州を議論したウイーンで、敗戦国フランスはタレーランが活躍、その後フランスは国際会議の中心へ )



アメリカでは、3ヶ月以内に議会は政権が決めたTPPの審議をはじめなければならない。オバマ政権と組んでTPPを推進した共和党上院のトップが「ソレは不可能」としたなら、実質TPPは死んだも同じ。

https://www.washingtonpost.com/politics/mcconnell-warns-that-trade-deal-cant-pass-congress-before-2016-elections/2015/12/10/b8151f26-9f66-11e5-8728-1af6af208198_story.html?wpmm=1&wpisrc=nl_headlines

TPPの挫折は日本にとって幸なのか不幸なのか。個人的にはずっと前者の立場だが、同じように、政治のパフォーマンスにおわりそうなリスクを伴うのがCOP21。それは誰の得で、誰かの損なのか・・。

そもそも環境問題は温暖化だけではない。目先温暖化への対応は急務として、原子力推進国のフランスが主導するCOP21は興味深い進展だった。

フランスは国際社会という感覚では、自分達が中心にふさわしいと考えているのは明確だが、アメリカは合意文書が事前の shouldからShall になっているをみて激怒。
   
このあたり、ホストとしてフランスの抜け目のなさ。だが、中国・インドはアメリカが署名しないなら参加しないということで、最後はshouldに戻した。(NHKを見る限り、このあたりは日本では報道されていないし、それどころか、拘束力があるような誤報さえ・・)

実生活の口語ではShallはShouldより弱い。だがアメリカでは公的文書では逆になる。Shouldは精神的な義務。Shallは法的拘束力を伴う。

つまりShallでは米国議会が通さないので、アメリカは参加できない。ケリーが激怒したのは、ホスト(フランス)はそんなことは解った上で、なぜShouldだったモノをShallにしようとしたのか。

まあ精神的義務で拘束力のないShouldでも、仮にShallのまま拘束力があっても、lインフォースメントの組織を持たなければ、法律があっても警察のいない社会と同じ。本質は変わらない・・

ではこのパフォーマンスは無駄なのかといえば、そういうことではない。世界のマネーを脱化石燃料社会へと動かせばいい。だからその方向に便乗するオバマ政権の取り巻きは必死だ。

もしこのCop21が何かの始まりなら、先のOPECは時代の終わりの象徴。ただし20世紀のルールだったオイルによるビジネスの秩序が簡単に終わることはない。時代の変化への抵抗者たちの齎す社会のボラがどの程度のものになるか・・。

その意味で、マネーを軸に考えれば、ISISなどのテロ現象は主役ではなく脇役。そしてそんなこととは無縁の今の日本の誠実さ。これをどうするのか。それが本当の真マネー原理のテーマだった・・

本当は世界が日本人の真面目さに近づくのが理想。だがそんなことは不可能なので、結果として、戦争も知らす、冷戦も知らす、利上げも知らない人々は、それなりの準備をしたほうがいい。

<ご連絡>、
次回からこのブログの内容が変わります。
真マネー原理は、ゴゴジャンのTakizawaレター(今日の視点・明日の視点)へ。

2015年12月9日水曜日

アメリカの谷(ディストピア)

                         

                 TheStreet @TheStreet 
           “The time to buy is when there's blood in the streets.”

      だから、オバマは「ブーツを出さない」といったら株は下がってしまった。
      トランプの挑発は、皆ワシントンの「ボーガス」に飽きているからだろう。
         
                 さて、今晩はどちらを観るか


                            
この谷の下はどんなディストピア?




2015年11月30日月曜日

混沌と混雑と日本の主張


                 国際政治は混沌


         
                シリアの戦場は混雑
          

             この最中でも日本の主張は鯨肉へ


          http://www.bbc.com/news/world-asia-34952538

昨日から日本が捕鯨を再開したことを、CBS系のニュースでは何度も報道している。敗戦後、日本が世界に向かって頑なに自己の権利を主張するのは稀。だから、国際裁判所の判決に日本が反抗した心意気を、個人的には拍手喝采したいところ。だがなぜその案件が捕鯨なのか。

日本が何かを主張すれば、日本を説得する側は代替案件で妥協することもある。だから美徳でも何も主張しないのは損だ。ただしカードは大事にしたい。その時々の国際情勢に沿った国益の優先順位を考えないといけないと思う。

例えば今、中国は尖閣の領有権を主張する。日本には味方が必要だ。南沙での中国の横暴に悩むアジア諸国の多くは今は日本の味方。でもインドネシア然り、彼らはアメリカが態度を変えればどうなるかわからない。

アメリカもいろんな駆け引きをしている。政権は国民の感情を無視できない。アメリカの若者は、誰も住んでいない尖閣の領有権より鯨の命に関心がある。そんななかで、こちらのニュースは、科学調査といいながら、実際は商業に使っている日本の不正義を言いたいようだ。

不正義?主要な西側先進国は最低でも二枚舌。民主主義や法治国家の制度を主張しながら、秘密機関には超法規的仕事をさせている。そうやって相対的な国益のゲームを延々と続けながら、決定的瞬間までは駆け引きを続けている。つまりダーティーな大人の社会。

そういう二枚舌にくらべ、日本は清廉で正直だと思う。国際社会に対しては、純真無垢な子供の良さを保っている。そして日本は世界平和にとても貢献してきた。なら少しの鯨ぐらい殺して食べてもいいはずだ。民主主義の正義を謳いながらドローンで民間人を殺す矛盾よりベター。でも現実の世界はダーティーな大人が仕切っている。

ジャパノロジー(Japanology)という言葉が示すように、欧米では若者を中心に、日本人の文化がクール(かっこいい)という感覚が生まれている。そんななか、近年日本の食文化が世界一であることに、日本人が自信を持ち始めたことがアメリカからもうかがえる。

悪いことではない。ただその前提となった世界の平和や若者のリベラル化は永続するのだろうか。もし日本がその時代の延長で捕鯨を考えるなら、これもある種の平和ボケだろう。

まあまだ国際政治は混沌。シリアの戦場は混雑している。なら直ぐには動くに動けない情勢で、もう少し平和が続くだろう。ただしTPPにはアフリカの象牙や大西洋黒マグロの保護なども入っている。個人的趣向では、鯨の尾肉より、中トロの方が大事・・



2015年11月23日月曜日

ハンガーゲーム、耐性菌と抗生物質 ( マネー原理プロから )

          

         (ハンガーゲームのブームと、貧富の差は平行している)


アメリカがイラクから去り、ISISがその半分を支配した際、イラク復興のためのアメリカが残した数ビリオンのドルは、そのまま彼らのものになった。

その後ISISは闇オイルで稼ぎ、欧米がその流れをとめても、ISISと戦っているはずの反アサドゲリラは、そのISISからオイルを買っている始末。

一方ISIS空爆に参加しているはずのサウジ、ヨルダンなどのスンニ王族諸国は、個人ベースではISISに資金援助、ISISがシーア派連合を弱体化させることを期待している。

その中でアサドのシリアを死守するプーチン。煮え切らないアメリカは、オバマが大統領の間はイランと事を構える覚悟はない。

(ISの総資産は200兆円とも・・)
http://www.dailymail.co.uk/news/article-3328812/On-murder-march-ISIS-Terror-expert-tells-slave-markets-summary-executions-morality-police-jihadi-group-2trillion-bank.html


稀に見る残虐性で世の中を震撼させるISIS。だが勢力は2~3万。リーダーとされるバグダディーは経歴からは小者。だから捕まえても当事のアメリカは相手にしなかった。

テロといえば、60~70年代、資本主義の成長力の裏、戦後のアンチテーゼで世の中を騒がした赤軍。そして90年代、アメリカのサウジ進出に端を発したビンラディンのテロ。これらの脅威は、そのコアを取り除くことで一定の効果があった。

だがISは違う。ビンラディンど比べても、バグダディーにカリズマ性がないことが、逆に彼を始末してもあまり意味がないことを既に証明している。だったら末端のパリ実行犯の若者が死んでもさほど意味がない。

では究極的には、ISISとは一体なんだろう。そもそも本当にコアが存在するのか。組織としてのISISは、表向きのトップは小者、武器は旧式。だがISISを大きく見せているのは、戦っている側の本質的な問題。アラブのスンニとシーアの確執。先進国の貧富の差など、、

ISISの本質を考えたとき、個人的には近年新たな脅威になった耐性菌が思い浮かんだ。抗生物質で死滅したはず菌が耐性をもって復活する。人類の新たな脅威だという。だがその要因は菌そのものではなく、抗生物質による対処という考え方・・

先日のクローズアップ現代で、耐性菌に対抗するには、そもそも抗生物質の安易な使用を減らし、菌に耐性力を持たせないことが重要という医学からの主張があった。新しい抗生物質を見つけても、菌はかならず復活する恐れ。

文明の進歩とともに社会も人間も安易に薬を使うようになった。昨今は痛み止めだけでなく、ステロイドなどドーピングでパフォーマンスや寿命を伸ばす。

でもそれでは人間本来の免疫力は劣化し、耐性菌はどんどんしぶとくなっていく。ソレは経済も同じだと思う。(そこはある保守派に同感)実体経済を上回る膨大なマネーの役割と、そもそも膨大なマネーを感じられない矛盾。

70年代、マネーはその量的限度を定めていた縛りから解き放たれた。今はインフレ率などいう机上のequationで、膨大な流動性として存在する。ならどういう通路にせよ、ISISが耐性菌として「誰かのマネー」にアクセスするのは可能だ。

このタイミングで、FEDはリーマン以降続けてきた「コーポレート版・ヘリコプターマネー」の副作用を意識しているようだ。FEDの流動性は、大企業と資本市場のサークルにとどまったまま。

社債は新規事業の原資というより、バイバックや増配のファイナンシャルエンジニアリングに向かった。生まれた格差は社会の不満になり、何より流動性は次のボラの温床にもなっている。


 (カンニバリズム:終に利益をバイバックと増配原資が上回る。そのマネーはどこから )


http://www.reuters.com/investigates/special-report/usa-buybacks-cannibalized/#Buyback-Chart

だったら保守派の主張する「真の資本主義復活」に向け、人命を犠牲にしても、破壊と創造を断行するか。(需要が生まれる)それとも、末端までマネーを直接配り、怒りを沈め、平和を維持し、名実ともにインチキ資本主義の体裁を終わらせるか。

戦勝国で。国土の直接被害が少なかった米英の一部は前者。一方、大戦で大きな被害を受けた大陸は、英米と距離を置き、後者に傾き始めたと思う。

ここではずっとこの局面をTHIS IS ITとしてきた。そしてソレが始まった頃、どこからともなくISISが生まれた。シリアという西洋文明には特別な場所をめぐり、各国の欲望がISISを生み出し、表面は戦いながら実は助長している可能性。

そしてその結果、テロさえも今の市場では次の緩和につながるというゲーム感覚。その母体は、ハト派が多くなり、物事の平和的解決を目指しているはずの中央銀行の繰り出す流動性。

命がけのサバイバルと、そのゲームを傍観する社会の格差。金融市場には、まるで映画のハンガーゲームの世界が展開しているようだ。

      
           (米英がなぜこの位置なのか)



2015年11月17日火曜日

Night will fall

失った人命をコストと考えれば、ここからフランスは強い。逆にどんどん追い込まれそうなのは、難民で苦境に立つメルケルとドイツだろう。

人命をコストと考えるかどうかは、時代のサイクルの可能性がある。失われたモノは戻らない。ならコストをどう未来につなげるか。いつまでも感傷に浸る国と、冷徹に合理的に国益につなげる国の違いは、次の50年後にも、また大差となっているだろう・・

Night will fall (HBOドキュメンタリ映画ーから)

イギリスはこの映像を昨年まで公開しなかった。連合国の勝利が既に確定していた1945年6月、若い兵士にカメラを持たせ、ナチスのユダヤ人収容キャンプ場の開放をドキュメンタリーとして準備、監修にはあのヒッチコックを起用した鳴り物入りだったにもかかわらず・・
出演者のコメントからは、想像を絶する残酷 非人道的な映像に流石の米英も扱いに困った様子が想像される。ただし、米英がこの映像で「次」を考えていたことも事実。映像の最後、技術力では英米を上回る実力のあるドイツを(復興後)次の敵のソ連に対して有効に使う目的が示唆されている・・



2015年11月14日土曜日

日本は外国人観光客の安全確保を




             夫を支えるイギリスで生まれ育ったアサド夫人

アメリカ フランス ロシアのシリア空爆。みな表向きはISIS空爆を主張しながら、ロシアは反アサド勢力を空爆、アメリカはその反アサド勢力を応援、自分自身は中途半端だった。ならフランスは誰を空爆していたのか。少し前、ここではその情報がないとした。

もしかしたら、フランスだけ?本当にISISを空爆していたかもしれない。ただアメリカの後退、中国の台頭という歴史的変革期(今の4THターニング)をフランスがチャンスだと考えていたのは明らか。だから独自にロシアとの関係を探り、経済では中国をアメリカにぶつけ、ウクライナ問題ではロシア制裁の軽減を訴えていた。(ギリシャなどの欧州問題では、ドイツを矢面に立たせる・・)

フランスでの相次ぐテロはその代償?。少しまえ、イスラエル国防相が、「神殿の丘」を完全奪回すると漏らし、(丘にイスラエルの旗を立てる)ネタニヤフでさえたしなめたいうリポートがあった。(丘の管理はイスラムとユダヤ・キリスト社会の最後?の平和的バランス)

今回の事件ではレベルの高いVOXでさえ、ISISの犯行声明にいつもと違う違和感を示唆しているが、自分の頭の中では、ロシア飛行機墜落後、ドーピング、一転したFEDの利上げへのフリップ、そして先日紹介したビデオなど、すべてのツジツマが合ってきた。

http://www.vox.com/2015/11/14/9734794/isis-claim-paris-statement

そして早々に ローマ法王が第三次世界大戦などと発言し、イギリスがフランスを助けて戦争宣言。まるで十字軍の世紀に逆戻りしたような状況。

そんななか、見えない大きな力は、いろんな手段で先にロシアがシリアに入るのを邪魔し、ここで英仏が動けば、早晩、米国のコミットも本格的にならざるをえない状況が整ったと思う。

ではオバマ政権はどこまで自分でやるか。イランとどうしてもやりたいなら次の政権で、、、というとケリー長官の努力は時間切れの様相。

いずれにしても、フセイン・カダフィーと同じ運命になりたくなければ、アサドは早くロシアへ亡命したほうがいい。(個人的にアサド夫人のファンなので)

前述の様に、このいくさ、影で暗躍している勢力の中に、イスラエルのタカ派勢力があると個人的には考えるが(注、ユダヤ人ではない。くだらないユダヤ陰謀説は無用、ウクライナ以来、米国内のオバマ政権を支持する知的穏健派ユダヤ系と、ネタニヤフ的なタカ派イスラエル人脈の対立は顕著 )

めぐりめぐって、安倍ジャパンには、イラク戦争後と同じ追い風も考えられる。ただし債券をしこたま仕込んだ人たちは、2003年のバーショックを超えるショックに準備すべきだろう。もし金利が上がって株がビビッてしまうようでは、QE相場は、平和ボケ相場だったということ。

そして一番気になるのは、国内では十分警戒しているアメリカ人が、旅先の日本で狙われるリスク。

無事東京五輪が迎えられるかどうか。まだ磐石とはいえない・・


2015年11月10日火曜日

緊急寄稿 ゲームチェンジャー ビデオ



アンダーグランドでISISが流す首切りビデオの役割は終わった、ならメジャーなメディアがこのようなショッキングなビデオを流すのはなぜか。こんなものが流れれば、ロシアはもとより、アメリカも黙っていられない可能性。200人の子供を殺すISISは、ゲームチェンジャーの可能性、、

2015年11月9日月曜日

KKK とマフィア、どちらがお好きですか


大統領選まで1年をきった。9月末から10月にかけて、金融市場がドラギ発言やFEDの緩和継続期待で盛り上がった頃、金融・メディアを牛耳るクリントン一派が終結し、ヒラリーを磐石にした。

ただ民主党は、この時期にヒラリーだけにしてしまうのは本当に健全だろうか。候補者が乱立する共和党とは対極の意味で、アメリカはアメリカらしくなくなってきた・・。
         
          
     (民主党はヒラリー人に集中し、もし彼女に何かあったらどうするのだろう)

そして11月、雇用統計で利上げの可能性が復活。FEDのハト派は、ずっとデータ次第といいながら、実態はマーケット次第だった言い訳が必要になる。追い風は保守派へ。     

そんななか、先週オハイオでマリファナの合法化が否決された。大統領選で最も重要なオハイオは、まだ保守的だった。この結果は共和党には朗報。

保守派にはQEのような緩和策こそが最大のドラッグ。これ以上金利ゼロのマネーでジャブジャブにされれば、誰も実体経済に貢献するリスクに挑戦しないと彼らは考える。

   http://www.economist.com/blogs/graphicdetail/2015/01/daily-chart-11? fsrc=scn%2Ftw%2Fte%2Fbl%2Fed%2Fmappingmarijuana

            
            (FEDのジャブジャブマネーはドッラグではないの?)


ところで、一般的な大統領選の解説は追々するとして、ここではKKK(Ku Klux Klan)とマフィアの関係を触れたい。背景は禁酒法をめぐる彼らの攻防が、現代のマリファナ議論の参考になるからだ。

そもそもKKKもマフィアもどちらも社会悪のイメージ。歴史的に対立してきたこの二つの組織は、二大政党制の利害構図を観る上では、興味深いサンプルでもある。

共和党的価値観を共有するKKKは、もともとは崇高な白人至上主義だった。ところが南北戦争に負けたあたりから(旧南部)リンチなど黒人に対する非合法な活動が目立つようになった。

リンカーンによって施工された人権を主張するとどうなるか。見せしめだった。黒人は仕事を求めて都会へ移動。北部がインダストリアルで発展する中、南部は取り残された。

一旦は沈静化したKKKは、20世紀初頭に復活する。背景は、NYやシカゴへなだれ込んできた新しい移民。ユダヤ人をはじめ、イタリア人 アイリッシュなどのカソリックの急増に対し、WASPたちが危機感を覚えたとされる。

結果、KKKは全米で400万人規模に膨れ上がった。こうなると最早テロ集団ではなく、米国で最大の政治集団になった。(日本原爆を落としたトルーマンはKKK) そして彼らが推し進めたのが、あの禁酒法。だがこの禁酒法が、KKKを逆に追いこむ結果となる。


禁酒法によって生まれたマフィア。マフィアは遅れてアメリカにやってきた2級市民が主役。ここは金融市場の主役と同じであることを以前紹介した。(ユダヤ人 イタリアン アイリッシュ)

参考 http://marukano-gb.blogspot.com/2014/12/blog-post_27.html

カポネも庶民に人気があったが、かっこいいスーツを着て派手にお金を使う。マフィアが主役だった狂乱の1920代、この頃ユダヤ資本の映画会社は、NYからハリウッドへ拠点を移し、リベラル派の応援をすることになる。

イタリアンマフィアは、第二次世界大戦中は民主党政権に協力し、米軍のイタリア上陸を助けた。代わりに国内では当局の目こぼしもあり、勢力を拡大した。(このあたりの民主党政権の相対的国益の判断力、いまだに日本は苦手にしている)

一方マイノリティーでも、新移民よりはアメリカの先輩になる黒人層は、リンカーン後は奴隷を解放した共和党に投票していた。だがウイルソン大統領以降、都会で暮らす黒人は次第に民主党に傾いた。最大の転機はケネディー兄弟。

彼らが民主党を現在の民主党のイメージに変えた。そしてミシシッピーバーニングで有名な黒人の人権を守る活動をしていた3人の若者が殺された事件でFBIが使ったのがマフィア。

FBIの捜査に協力しないミシシッピー州当局に業を煮やしたフーバーは、マフィアにKKKのメンバーを拷問させ、一連の事件の犯人達の連座に成功。これでKKKは完全に下火になった。

しかし現在の構成員を見ると、マフィアが5000人未満であるの対し、KKKは8000人以上。隠れKKKはかなりいるといわれ、先週アノニマスが公開したKKKリストには、3人のFBI現役職員が含まれていた。

http://www.bbc.com/news/technology-34736941
 
アノニマスの情報を信じるかどうかはともかく、ここ数年の白人警察官と黒人の対立は、アメリカにきて21年で最悪だと思う。人口動態的に完全にマイナーに追い込まれそうなKKKの母体集団が、団結を強めるのは自然だ。

そのあたり、共和党支持者の不満を突いているのがトランプ氏。共和党のイスタブリッシュが彼をなかなか押せえられない理由は根深い。

ただ民主党も、本来民主党ではないバーニーを、民主党候補者として容認するような人材不足の露呈は、アメリカそのものが、大きく変化する可能性を示唆していると思う・・








2015年11月3日火曜日

政治の嘘とドラマの本当、、の関係

            


「House of Cards」のシリーズ3は、ケビン・スペーシー演じる主人公ウッドワード大統領(民主党)と、プーチンをモデルにしたロシア大統領のペトロフの駆け引きが重要な複線だった。

脚本時点でウクライナ問題は起きておらず、ケビンスペーシーは、中東を舞台に、節度を保った互いの中東への派兵を、米ロ国際協調の延長という政治的勝利を画策するストーリー。

ところがペトロフ大統領は、自国の兵士が攻撃された事件を、ロシア兵を大量に派兵する口実にした。ドラマでは、プーチンが自分で自国兵を犠牲にした(殺した)と、ケビンスペーシーが激怒する設定になっていた。

現実の世界では、当初、エジプト当局が否定した第三の要因によるロシア機墜落。情報が錯綜する中でプーチンはどうでるのだろう。

House of cardsを見たロシア関係者は、プーチンはあんなJolly(愉快なキャラ)ではないといったらしいが、アメリカが描くほど、個人的にプーチンを悪者には考えていないいものの、ISIS撲滅の旗頭で、ロシア軍のシリア本格投入はありえると思う。

その場合、オバマは50~200人程度の人員でどうするのか。こちらも先週情報が錯綜した。まず各放送局で、オバマは200人程度の地上軍派遣を決定と報道された。その後否定され、ホワイトハウスは、特殊部隊50人を軍事訓練のために派遣するとした。

200人程度の派遣?思わず、昨年紹介したローリングサンダー作戦が思い出されたが、いずれにしても、シリアの顛末は次の大統領が主役。もしヒラリーなら、彼女が最も尊敬する政治家がジョンソン大統領というのは、PATHにおいて因果かもしれない。(副大統領としてベトナム戦争に積極的だったジョンソンと、ベンガジからシリアにかけて武器を残してしまったヒラリー)

<参考>想定内相場とローリングサンダーの想定外 
http://marukano-gb.blogspot.com/2014/05/blog-post_28.html


このように、アメリカを考える時に、ドラマと現実が入り乱れ、お互いが相手を完全に否定せず、相乗効果を生んでいる面がある。国民の知識に格差があり、スポーツも政治も経済も、ヒーローが活躍する国家の特徴だろう。

ハリウッドでは大根役者だったレーガンはその後のアメリカの運命さえも変えた。(冷戦勝利)

30代~40代での政治的変節(民主党から共和党へ)。40代~50代での企業の成長と国民生活支配の関係の経験。(GEの専属CM俳優として、冷蔵庫などの発表会で商品販売)

そして政治家として、メッセージの伝達力で歴代大統領で最高された。結果、ゴルバチョフまで、アメリカは本気でスターウオーズ(SDI)をやる気だと思わせてしまった。
(レーガンに米国との競争を諦めたゴルバチョフは、内政改革へ舵を切り、ソ連は自壊へ・・)

そんな中、90年代に米国金利を見始め暫く経ったたころ、上院議員としてグリーンスパンを詰問するフレッドトンプソンをみて頭が混乱した。なぜ「ダイハード」や「レッドオクトバーを追へ」でアメリカの軍事顧問役の彼が上院委員会にいるのか?
         

               

トンプソンはもともとは弁護士。ウオーターゲート事件では重要な役割を担い、80年代はそのまま俳優へ。そしてアルゴアの副大統領就任に伴ったテネシー上院空席選挙で勝利。10年間上院議員を続け、引退後は再び俳優へ復帰しながら大統領選にも挑戦した。

トンプソン氏は昨日、病気で永眠した。(73歳)

いずれにしても、ビルクリントンが、95%はワシントンの事実を描いているとしたHouse of Cards。現実とドラマの境がよくわからない今の時代は、理論より、人間社会を観察したシナリオの方が、未来の予想では役に立つことが多い。その意味では必見のドラマだと思う。


2015年10月26日月曜日

人民元に逆転された日本円(SWIFT)、元祖グローバリスト ハリーホワイトの怨念? 


             プレトンウッズのケインズとホワイト(WIKI、)


今日のマンチェスターダービーは凡戦だった

2015年8月以降、SWIFTで人民元が日本円を抜いた実績。9月末、オバマ政権が人民元をSDRに加えることを条件付で承認するという方向転換。これはこの結果を受けてのものか。

http://www.swift.com/assets/swift_com/documents/news/RMB_stellar_ascension.pdf

http://www.bloomberg.com/news/articles/2015-09-25/u-s-takes-step-toward-support-for-china-s-reserve-currency-bid

なら安倍さんも大変だろう。日本と日本の円をもっと世界に売り込まなければならない。

安倍さんの地球を俯瞰する外交。このタイミングは、野党の主張どおり、TPPの詳細を国会で説明するのを避けるためだと思った。でも、円と元の国際通貨としての実績の逆点は、日本としても緊急事態。首相としてじっとしていられないのも事実だろう。

それにしても、アメリカは昔の紳士的決断を後悔しているかもしれない。世銀だけでなく、IMFもアメリカがトップを握っていればよかったのだ。

敗戦国としては、まだ戦争が終わっていない1944年7月に、既にプレトンウッズでIMFと世銀の構想があったのは無念の一言。

まあアメリカの軍事力で第二世界大戦が終わったのだから、IMFも世銀も元々はアメリカのモノだった。しかし当事のアメリカは、WSの要求で世銀トップは譲らなかったが、IMFトップはヨーロッパへ人へ譲る紳士的態度をとった。

背景はプレトンウッズでは重要な立場だった二人。
一人は英国人のケインズ。そしてアメリカ側は、グローバリストの元祖で、日本にも縁の深いハリーホワイトが、アメリカのごり押しより、世界観を重視したからだといわれる。
(2011年2月10のFPプロから (Foreign policy Group)

この紳士協定が現在まで続いている。(世銀トップはアメリカ人 IMFは欧州人)ところが、現状の世界では、どうやら世銀とIMFの重要性は逆点してしまったようだ。

もともとヨーロッパの戦後復興を引き受ける目標の世銀は人員規模はIMFの5倍。しかし途中からその役割が発展途上国への援助に変わった。一応銀行なので、野放図なことはできない。

一方IMFは、ギリシャの例をみるまでもなく、BAILOUT(救済)が可能。さらにニクソンショック以降、変動相場制での国家間の攻防でキャステイングボードを握るようになってしまった。

ところが、そのトップはアメリカの意のままにならないフランス人。フランス人がトップの間に、IMFはG20レベルの国家の発言力や投票権が増した。

この事態にUNHAPPYなアメリカ議会は、2011年のIMF決定を承認していないが、世界は度重なるこの種のアメリカの態度に限界を感じ始めている(英国のAIIB参加が証明)

だから、IMFメンバーによる中国のSDR加盟の賛同は、たとえ恩あるアメリカでも、必要な抵抗であり、民主党のエリートグローバリスト集団が囲むオバマ政権は、そのあたりも考慮している。

しかし6月まではIMFスタッフに、中国元のSDR加盟は時期尚早のレポートを書かせた。ならここに来て賛成に回るのはかっこ悪い、それなりの代償の思惑があったはずだ。

個人的には、オバマと習金平会談で、アメリカは南シナ海やサイバー問題で中国の譲歩を要求したと思う。でも結果にオバマは満足していない。ただし実績で日本円よりも中国元が上回った以上、最早アメリカは反対を唱えるわけにはいかない。

日本のネトウヨ記事では、習金平に怒ったオバマが中国に何かするかもなどいう、期待も入ったような論調があった。でもあと1年しかしかないオバマと習金平では、最早立場は逆転していると思う。

もちろんアメリカが圧倒的な軍事力を前面に出すチャンスがあるなら別。しかしエリートグローバリストや、何よりオバマ本人が、そういう手段は一番嫌いだ・

元祖グローバリストのホワイトは、日本と戦争をしない方策を訴え続けた。しかしルーズベルトは受け入れなかった。そして戦後、ソ連とも「戦い」ではない関係を模索した彼は、スパイの汚名を着せられ、不可解な死を遂げた。

そして今のグローバリストたちも、ケインズと金融緩和を推進する。代表的なのはクリントン政権で中枢を担ったルービン一派。つまり財務省とGS関係者。例えば、サマーズ ガイトナー ブレイナード フロマンなど、、

9月末から10月にかけて、TPPが妥結し、オバマ政権が中国元のSDR加盟の反対を取り下げ、
ヒラリークリントンが盛り返し、そしてFEDの利上げが遠のく論調になった。これらの現象は、バラバラではなく、また偶然でもないだろう。

いずれにしても、この演出に日本の株式市場も反応している。その一方で、日本のメディアの多くは、いまだにアメリカのストラテジーを共和党の視点で伝えるトンチンカン。共和党のストラテジーを信じるなら、利上げに準備すべきだ。

日本のメディアのレベルは本当に低いのか、あるいはアメリカと安倍政権に遠慮しているのか。
メディアが、見ざる 聞かざる 言わざるなら、国民は善意とアメリカ優位の妄想の塊のまま。

この状態は、恐らく誰にとっても都合がいいのだろう・・ 


2015年10月19日月曜日

 安心の対極、 日本人と桜

(NHKスペシャル ドナルドキーンの愛した日本人より)


ラグビーワールドカップでの日本代表の試合が終わった。

10年ほど前まで、日本のラグビーは大学ラグビーが中心だったと思う。(人気で)

いわゆる伝統校を中心にしたおかしなヒエラルキー。

バブルを知るオジサンたちは、郷愁に満ちた応援をしていた。(自分もその一人だった)

その頃、世界のラグビーは別の次元だった。


見違えるような今のジャパンのラグビー。

躍動する桜のジャージーを着た外国出身の日本代表選手たち。

五郎丸選手は、大学の頃は今泉選手と同格に思えたが、

外国出身の選手との切磋琢磨で進化した今、新しい日本人として頼もしくなっていた。

日本のラグビーは、日本という国が、未来永劫生き残るためのヒントだろうか。


そんな中でNHKのドナルキーンさんの特集。

キーンさんが最初に魅了されたのは、「桜」に「はかなさ」を見出した日本人の美学。

そして、キーンさんが挙げていた日本人の特徴は、以下の五つ。


あいまい(余情)

はかなさへの共感

礼儀正しい

清潔

良く働く



こちらでアメフトの魅力も知った今、個人的にラグビーの魅力はスクラムになった。

血が混じり、優秀なコーチの元では、日本のスクラムは南アと互角、サモアを圧倒した。

ここは、キーンさんが知らない日本人の可能性だと思う。


ただその可能性は、日本が、日本人だけの世界に拘ると、また閉じてしまうだろう。

戦後、最も平和で、最も長生きになった日本社会。

最早そこには「人生ははかないもの」という前提はない。

かわりに、「安心」という言葉が支配している。

結果、

ボラが高い株式市場、

信用できないマンションの地盤、(もともとば地盤に磐石などあるのか?)

わけのわからない外国人の存在、

は、自分達の命や生活を脅かすものとして、安心とは対極の悪になっている。


なら商売は簡単かも。方向性でこんな判りやすい国家と国民はいないのだから。

老後の年金、健康、治安、外国の侵略。ちょっと不安を煽ればすぐ逆に反応する。

網を張り、待ち構えればいい。(振り込め詐欺、米国主導のTPP 日経225先物 )


でも本当に、この世の中に「安心」などあるのだろうか。

個人的には、日本が貧しさや、戦争などのの悲劇と戦ってきた戦前までの時代は、

今の我々が当たり前として考える「安心」などという概念はなかったと思う。

ずっと豊かだったアメリカで生まれたキーンさんは、その時代までの日本の文化に触れた。


その意味で、現代人が、ほんとうにはかなさに魅力を感じているかに疑問。

特に大陸と繋がっていない日本は、己の安心を求めるがために、

真のリスクに気づかない罠があると思う。


シリア難民を扱ったクローズアップ現代で、二人の日本人女性の知性に触れた。

政治学者で、日本に難民を受け入れる運動をしている長有紀枝さん。

彼女は、日本がもっと難民を受け入れるべき理由は、人道的見地だけではなく、

もし災害大国の日本に何か起こった場合、日本人が難民になる事態も想定していた。

そして番組で、そういう想像力の重要性を日々のテーマで訴える国谷キャスター。

こういう人たちが活躍すれば、きっとドラルド・キーンさんも安心だろう。